田口浩司プロデューサーが語る、儲かるアニメの作り方

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0910/09/news003_2.html
前回のインタビュー記事と似てる内容もありますが、それら含め気になったところだけ抜粋しています

「萌えのアニメがたくさんある中で、なぜスクエニのアニメは当たるのですか?」と取材などでよく聞かれます。『咲-Saki-』は女子麻雀部を舞台にしているのですが、その前に女子剣道部を舞台にしたアニメ『バンブーブレード』も作ったんですね。両作品ともに、キャラクターを男くさく書くと、いわゆる“スポ根もの”になります。30代から40代の世代が昔から見てきたスポ根ものを今風の設定、つまり美少女キャラに置き換えただけの物語だから(当たる)と言っても過言ではないと思います。
(中略)
もうけないといけないので、ウケ狙いは当然やるのですが、そのバックボーンや世界観、キャラクターなどがしっかり生きていないと売れないという部分があると思います。『バンブーブレード』のヒットのころにそれに気付いて、その延長線上でやってきたのが『咲-Saki-』です。

そこで、2009年の東京ゲームショウで発表したのですが、集英社講談社小学館、角川、うちが出資してリブリカという会社を作って、まずはプレイステーション・ポータブルPSP)でコミックを有料配信して読めるというビジネスをやろうかなと思っています。
(中略)
(コミックの有料配信は)多分ここ2、3年が勝負だと思います。最終的にはiPodやDSでも読めるようになる、というのもありうるのではないのでしょうか。最初は携帯電話でも見れるのではないかと思ったのですが、欧米の携帯電話のスペックが日本ほど上がっていかなかったんですね。向こうの人は日本みたいに携帯でゲームをあまりしないので。それがあったので、ちょっと時間がかかったのですが、とりあえずPSPで海外配信は攻めていこうと考えています。

 2008年の10月からWebでオリジナル作品を連載するというのを試験的にやっています。ほかで連載したものをWebに移すのではなくて、Webのみで新しいコンテンツを連載するということをやってきました。今年になって本格始動して、コミックが今7点ぐらい出ていて、十分黒字化の見込みがついていると思っています。
 ただ、日本で全面的にWebにシフトするのは怖いという部分がありますよね。紙のビジネスが全国的に回っていますので。「Webで無料で連載を見てもらって、コミックは紙で買ってもらう」というビジネスが日本ではいいだろうと思ってやっているのですが、この仕組みは多分欧米では通用しません。欧米ではコンテンツの切り売りをせざるをえないと思います。
 ガンガンONLINEでは、紙で出して原価がかかると怖いような作品、あるいは試験的にジャンル開拓をしていきたい作品、あるいは今流行しているものではなく、一歩先をつかもうという理想を持っている方々向けの作品を提示しています。そこから火が付く作品がでれば先行きも見えてくると思うのですが、1年経ったばっかりなので「赤字にはならないだろうな」ぐらいが見えてきたばかりです。

 雑誌は赤字です。『月刊少年ガンガン』は、1000ページを超える殺人兵器のような雑誌です。なぜそういうことになったかというと、先ほど言いましたエニックスお家騒動があって、それまでの編集部員たち、連載作品を描いていた作家たちが抜けてしまった、という状況がありました。
 その中で我々が出版部門を再生しなければいけない時に、何万部のコミック売り上げが見込める作品が何本、何万部いくかもしれない作品が何本と構成を決めていくわけです。すると、これぐらいまで弾数を増やさないといけなくなった。これ以上はやばいけど、ここまでだったら大丈夫だよというギリギリが1000ページだったんですね。おっしゃる通り、雑誌自体は(アニメ原作の)弾の供給装置です。「あんなに厚いの誰も持って帰らないよ」とかよく言われましたが、結果的にそれが正解だったのかなという気はします。